井上湧貴選手 相手がいるからサッカーができる。

台湾サッカー

【台湾プレミアリーグインタビューvol.4】

小、中、高と日本でサッカーをプレー。

その後大学で2年間コーチとして携わり、のちにオーストラリア州リーグでも1年間アシスタントコーチを経験。
現在は台湾へ渡り選手としてプレーしている井上
選手に伺った、
台湾サッカーの印象と今後の発展についての現地インタビュー記事

MF井上湧貴 1995年1月18日生まれ

台湾プレミアリーグ”台程獅”所属。
安全で文化が日本に近い台湾。今シーズントップ昇格した台程獅。井上選手写真右下

–台湾でプレーするようになったきっかけをお教えください。

大学を休学してオーストラリア州リーグのパスコベールFCというチームでアシスタントコーチをしていました。

オーストラリアでの生活が終わった後、「黒田先生(元滝川第二高校サッカー部監督で12年から台湾サッカー育成に尽力。16-17年台湾代表監督)指導のもと台湾サッカーが盛り上がっている」というのを聞きつけて、海外の大学にチャレンジしたいという気持ち、安全で文化が日本に近いというのもあって台湾でサッカーをすることを決めました。

来る直前にサッカーチームにコンタクトをしていてロイヤルブルズFCなどに練習参加していて、去年12月に新しく立ち上げた台程獅の存在を知りまして、昇格戦を戦ったのち現在までプレーしています。

相手がいるからサッカーができる。–台湾サッカーについての印象をお聞かせください。

台湾人は性格が優しいのか、コンタクトの競り合いが甘い印象を受けています。審判もそれに慣れているのか、ちょっとしたことですぐ笛を吹いてしまうこともよくありますね。

あと、昇格戦なんかの時もそうですが、開き直りが早い所があるかもしれません。

日本だと例えば、負けが決まっているような4-0、5-0の試合展開になっても、礼儀として「相手がいるからサッカーができる。だから全力で戦うのが礼儀だ」という考え方があると思います。

予選敗退が決まっていても1点は取ろうとかいう気持ちの面ですね。

昇格が絶望的になった時にキックオフのタイミングで選手11人全員が集まっていないとか。笑そんなこともありましたね。笑

もちろんその中でも頑張っている選手はいますが、選手個々でモチベーションの差が開いてしまっているので、チームとしてまとまりづらい時があるのかなという印象があります。

理想と現実のギャップ。–個人としての役割や、チームの目標をお聞かせください。

もともとはMFのアンカー、ボランチをやっていました。このチームでは右サイドハーフで出場することが多いです。

サイドができる選手がいないのと、安定したセンターバックがいないのが理由で最近では右サイドバック、センターバック、左サイドバックをやっています。笑チームとして目指している目標は、もう少しボールをキープしながら丁寧にパスをつなぐサッカーです。スペイン人監督によるスペインサッカーの考えを浸透させたいのですがなかなかうまくいっていないですね。フィジカルで押し切ってしまう選手が多いので、理想と現実のギャップがなかなか埋まっていません。

それはもう僕自身もどうしようかなぁ。と悩みながらプレーしています。

地域密着の地道な活動。リーグプロ化について今後必要になってくることは何ですか?

プロ化については、仮になったとしてスポンサーが一体つくのかどうかが問題になるかもしれませんね。

日本もプロリーグになったときは、ある程度高校サッカーも盛りあがっていたと思います。でも台湾ではアマチュアサッカーが盛り上がっていないですね。

下のカテゴリについても、もっと盛り上がっていかないとなかなか難しいかもしれません。プロ化のためには日本のクラブでもやっている地域密着の地道な活動とか、そういった努力も大切だと思います。

何回かハーフタイムショーみたいなものもやったりしていますが、毎回ではないし数も多くないのが現状です。

海外に挑戦する若い選手–台湾サッカーで良くなっている所はありますか?

日本でいう三浦知良選手が当時ブラジルに渡ったように、最近台湾では海外に挑戦する若い選手が何人か出て来ています。スペインに挑戦している選手もいますし、日本では暁星国際高校や新潟の学校へ渡る選手もいます。そういった流れも、台湾サッカーを指導していた黒田先生のおかげだと思います。サッカーに熱心な親もでてきたみたいなので、これからチームのアイドル的選手も5年以内には出てくるかもしれないですね。

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